柏一族の陰謀～第十五回 回覧板で～す！

ピンポ～ン・・・インターホンが鳴った

ん？こんな朝早くに誰だろう？

はいはい、今行きますよ～ちょっと待っててね～

なんて実際に口に出してるワケじゃないですよ

オレの気持ちを活字で表してるんですね

 

何でオレは急いで玄関に行くのか？

それはアレですよホラ

郵便配達のお兄さんとか

Amazonとか宅配便とかのオジサンが

「留守だな」

と早々に判断してしまう可能性があるからだ

そして不在連絡票を郵便受けに入れて帰ってしまう

それがイヤなんです、ええ、絶対にイヤです

 

だって再配達依頼の連絡しなくちゃイケナイでしょ？

それがね、ホント面倒なんだ

ホラ、オレってせっかちでしょ？

そんなコトは知らない？

いや知ってよ！せっかちなんですよオレは！

だから電話のロボットボイスの指示に従って

ピッコピッコとボタンを押すのがイヤ

 

配達　希望　日　を　押して　クダサイ

押したら　シャープ　を　押して　クダサイ

配達　希望　時間　を　押して　クダサイ

押したら　シャープ　を　押して　クダサイ

 

とかね・・・

あ～イライラするぅぅぅ！

アンタわざと遅くしゃべってるのか！

おまけにオレも押し間違えちゃったりしてね

 

もう一度　押して　クダサイ

もう一度　押して　クダサイ

もう一度　押して　クダサイ

申し訳　ございません

もう一度　最初　から　やり直して　クダサイ

 

なんだよ！押したよ！オレは押したよ！

いや～もうホント最悪ですよ

なんで最初からやり直しなんだ！

ひとつ前からやらせてくれよぉ・・・

お願いだよ・・・ダメ？ダメかぁ・・・

ほんとフザケンナですよ

 

ってなコトにならないように

はやく玄関に行きたいのである

ピンポ～ン・・・

はいはい、ちょっと待ってね～

お待たせ・・・おや？誰も居ないぞ・・・

もしや小学生のピンポンダッシュか？

いやいや、最近はそんないたずら小僧も少なくなった

おや？郵便受けに回覧板だ

ハハ～ンなるほど、お隣の小林さんか

ピンポンしたけどオレが出てこない

じゃあ郵便受けに入れて、もう一回ピンポンして帰ろう

そんなトコだろう

 

 

それにしても、このデジタル時代に回覧板！

いや～究極のアナログ情報伝達ですよ

たった1枚の紙に書かれたお知らせ

これを手渡しで各家庭を約1週間かけて巡回する

ゆえに大事な情報や緊急な情報は書かれていない

それが回覧板ですよ

 

回覧板が残ってる地域と消えた地域がありますね

柏タワーとかのタワマンは多分ないでしょ

柏の葉キャンパスのタワマン群も多分ないでしょ

だが我が街、旧仲町には回覧板がある

オレが物心ついたころからある

つまり55年以上は続いている

 

ちょっと前はオレもね

「回覧板は非効率である！意味がない！」

な～んて思ってましたよ

でも最近は回覧板もイイな～なんて思うようになりました

 

「河合さんこんにちは、小林です、はい回覧板」

 

この何気ない会話が重要です

 

顔を見て話すのが大事なんですよ

隣に誰かが引っ越してきた

でも誰が住んでるかわからない

これは不安ですよ

そんな時、回覧板があれば話ができる

まあ今となっては町内の潤滑油

それが回覧板なんですよね

 

 

さてさて、回覧板には何が書いてあるのかな？

「最近コロナ詐欺が増えています！要注意！」

コロナ詐欺？なんだそれ？

人って不安な時は騙されやすいからな

許さん！許さんぞ！

コロナ詐欺ってのは色々なパターンがあるようだ

「ウイルス除去浄水装置」

なんてのを売ってる悪徳業者もいるらしい

宇宙戦艦ヤマトの放射能除去装置じゃないんだからさ

悪徳業者はガミラス星人なの？そうなの？

ホントいい加減にしなさい！

 

いや～回覧板の情報も捨てたもんじゃない

これでオレもコロナ詐欺を覚えた

回覧板も進化してるんだな！

 

(つづく・・・駅の掲示板はさすがにもうないな～)