更新日令和3(2021)年9月21日

Fan Fun KASHIWA

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ダージーパイ

さきおとといの土曜日、夜9時過ぎのコトだ

オレは雨の柏三小通りをトボトボと歩いていた

なぜトボトボなどと寂しげなのかと言えば

日立台サッカー場で柏レイソルの試合を観戦

そして負けた、その帰り道だからである

 

きっと何も知らない人が歩いているオレを見たら

あまりの落ち込み具合にこう思うに違いない

「あの人は恋人に振られて三日間ご飯が喉を通らず

やっとの思いで食事に出かけたら財布を落とし

自暴自棄になって会社を無断欠勤したらクビになった

きっとそうだ、そんな歩き方だ」と

ま、それぐらいのトボトボ加減で歩いていた

 

すると前方から叫び声が聞こえてきた

どうやら食堂の呼び込みのようだ

この三小通り商店街はレイソルの試合がある日は稼ぎ時だ

沢山のサポーターが試合前と試合後、この道を歩く

店員は店の前に立って、弁当やオニギリを売るのである

 

1

 左がバイト風の女性 右が店長風の男性

 

叫んでいたのは「ひよこ食堂」の店員さんだった

このお店は今年の春ごろにオープンした

まだ一回も食べたことはないが・・・

呼び込みの女の子は女子高生ぐらい、バイトさんだろう

彼女は元気に叫んでいる

「本日限定で~ッす!ダージーパイで~ッす!

500円のところ、いまなら400円で~ッす!」

うむ、大きな声だ、偉いじゃないか

オレは知っている

そう簡単に大声で呼び込みはできるもんじゃない!

 

オレなんか全然ダメだった

高校2年、3年の冬休み、今から43年前の話だ

オレは新宿伊勢丹の地下食品売り場でバイトをした

佃權(つくごん)のカマボコを売る仕事だった

佃權店長「河合君、お客さんを大声で呼びこんでね」

オレは「いらっしゃいませ・・・佃權です・・・」

と蚊の鳴くような声しか出せなかった

 

佃權店長

違うよ河合君、こうやるんだよ

ヘ~イ!ラッシャイラッシャイ!ツクゴンだよ~ッ!(ダミ声)

ほらそこのキレイな奥さん!おまけするから買ってってよ~!

カマボコと言えば佃權!こいつで決まりだよ~!

フヘ~イ!ウィラッシャ~ァァァイッ!(絶叫)

 

純朴な高校生のオレがそんなダミ声で叫べるワケがない

なにせ御年セブンティーンである

何をしても気恥ずかしい年頃なのである

だがオレはオレなりに精一杯頑張った

恥ずかしいけど頑張った

ウィラッシャ~イ!買ってヨォ~!(クリーンボイス)

しかしカマボコは思うように売れない

なにせ隣の売り場では紀文のカマボコを売っている

佃權と紀文では圧倒的に知名度が違うのだ

ツライ、本当にツライバイトだった

 

だがこの「ひよこ食堂」の女の子はどうだ?

実に堂々と、ごく自然に呼び込みをしている

雨だし、レイソルは負けた

ほとんどのサポは素通りだ

だが彼女はくじけずに明るく大声で叫び続ける

立派だ!柏の女子高生(推測)は立派だ!

ところで・・・ダージーパイって何?初耳だよ

 

2

 彼女は優しくオレに説明してくれました

 

なるほど、台湾の唐揚げなのか

よくわからんけど、バイト女性の健気な叫び

それにオレは心を打たれた

雨の土曜日の午後

体も冷えるだろう

デートもしたいだろう

そして勉強だってしたいだろう

でも参考書を買うお金はバイトで稼ぐのよ!(想像)

そんな強い決意をオレは彼女の叫び声から感じ取った

偉い!偉いぞ女子高生!

よし、オジサンが唐揚げ、買おうじゃないか!

キミのバイトの励みになれれば幸いだ

え~っとダ~ダ~ダ・・・ソレ、ひとつください!

 

3

 

オレは家に帰って早速、包み紙を開けてみた

デカイ!看板に偽りなし!

この写真、なぜオレが笑っているのかと言えば

あまりのデカさに「なんだコレは!」と笑っているのだ

ダージーパイ・・・恐ろしい子!

イタダキマ~ス!

パクッ、うん、唐揚げだ

モグモグ・・・美味い、美味いぞ!

まあ唐揚げが美味しくなかったら唐揚げじゃない

パクパクッ・・・デカいな・・・

モグモグ・・・でも止まらないぞ、美味い~ッ!

 

ふぅ、御馳走様

これ一個でお腹いっぱいになりました

「ひよこ食堂」か・・・

コロナ禍の影響もあるだろう

だが食堂の基本「美味い」がある

よし、また日立台の帰りに立ち寄るぞぉぉ!

バイト頑張れよぉぉ!

 

(つづく・・・次は弁当買います)

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柏市出身ミュージシャン

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